動画の撮影時には、カメラのセンサーサイズとその影響を理解することが大切です。センサーサイズが大きいと、画質は向上しますが、被写界深度(ピントの合う範囲の深さ)やフォーカスの扱いやすさに影響します。大きなセンサーは美しいボケ味を生み出し、被写体を際立たせますが、ピントは繊細になりますので注意が必要です。また、動きの速い被写体を撮影する際には、オートフォーカスの精度が重要になります。
業務を中心としたセミプロフェッショナルの動画撮影では、動画専用のビデオカメラ(一般に業務用ビデオカメラと呼ばれる)と、ミラーレス一眼カメラが主流ですが、ここでは汎用性が高くスチル撮影にも使えるミラーレスカメラを紹介します。
ミラーレス一眼カメラ選びのポイント
- センサーサイズ
フルサイズと呼ばれる大きなセンサーは高画質を提供し、浅い被写界深度で美しいボケ味を生み出します。また超高感度でも画像が荒れにくいのも長所です。マイクロフォーサーズのような小さなセンサーは被写界深度が深くなりやすくピントが合わせやすい特長があります。 - 画素数
現在の主流は4Kですが、6Kや8Kも選択肢にあります。ただし、高画素数はデータサイズが大きくなるため、編集作業とのバランスが必要です。
※センサーサイズと画素数は、現在のカメラではそれほどリンクしません。 - オーバーヒート問題
一部のミラーレスカメラは動画撮影を長時間行うとセンサーが加熱して動作しなくなる傾向があります。通販サイトや比較サイトのレビュー記事などで確認しておくことをオススメします。
参考までに、私はOMSYSTEMのOM-1を使ってますが、いまのところ、長時間の動画撮影でオーバーヒートは起きたことがありません。(他のメーカーのことは詳しくないので比較はいたしません)
- フレームレート(fps)
一般的な動画は30fpsですが、早い動きを捉えるためには60fps以上が望ましいです。また、スローモーション撮影をするには120fps以上のフレームレートが設定できるものが望ましいです。
余談ですが、ネットに動画をアップするとき、15fpsで動画を作成しても音声ファイルには影響ないのでファイルをコンパクトにすることが出来ます。動きがなければ15fpsということは気が付かないです。 - ビットレート
通常の動画は8ビットカラーで記録されていますが、編集の余地を持たせるために10ビットカラーで撮影すると、より繊細な調整が可能になります。
8ビットカラーとはRGB3色のチャンネルのそれぞれが256階調のトーンで映像をつくり、色数は256の3乗=約1677万色です。一方、10ビットカラーは1024階調約10億色です。 - レンズのラインナップから選択する
ミラーレスカメラならレンズ交換が可能です。レンズは互換性が低いため、装着できるレンズのラインナップから機種を選ぶことも重要です。 - 記録方式
動画のスペックは高くすればファイルサイズは大きくなります。フレームレートは2倍にすればファイルサイズも2倍になります。ビットレートは8を10にすれば4倍になります。ファイルサイズが大きくなれば編集の負荷が大きくなってしまいます。そこで重要なのが記録方式です。H.264が一般的ですが、より新しいH.265の規格ならある程度ファイルサイズを抑えられます。
記録方式の比較
特長 | H.264 | H.265 |
圧縮効率 | 良好(H.265に比べると劣る) | 非常に高い(H.264より約50%のビットレート削減) |
画質 | 高品質(低ビットレートではH.265に劣る) | 非常に高品質(特に高解像度ビデオに適している) |
互換性 | 非常に高い(ほとんどのデバイス、プラットフォームでサポート) | 新しいため普及は少ないが、新世代のデバイスでサポート増加 |
その他 | 8Kにも相性良 |
これらのポイントを考慮し、撮影するコンテンツやスタイルに合ったカメラを選ぶことが重要です。機能だけでなく、予算や使いやすさも考慮に入れると良いでしょう。